「婚約」とは「結婚の約束」のことですが、法的に特に決まった方式があるわけではなく、当事者の間で将来適法な結婚をすべきことを合意すれば婚約が成立するとされています。
婚約が成立した場合、当事者はお互いに誠意をもって交際し、結婚を実現させるように努力する義務を負うことになります。
ですから、婚約を不当に破棄されたときは、結婚準備のためにかかった費用や精神的苦痛に対する慰謝料など損害賠償を請求できる場合があります。
もっとも、先程のべたように、婚約には法的に決まった方式があるわけではないので、果たして本当に婚約が成立していたのか?と争いになることがあります。
婚約の成立には将来結婚するという真摯な合意がされたことが必要ですので、たとえば恋人同士で寝物語に甘い言葉を交わしたというだけでは婚約が成立したとは言えませんし、仮に同居をしていたとしても将来の結婚を約束してのものではないかもしれません。
「婚約」が成立していたか争いになった場合には、そのような真摯な合意があったかどうかを客観的に判断する必要があるので、交際の経緯や、結納の有無、お互いの家族や知人へ婚約者として紹介していたかなど、種々の事情が総合的に考慮されることになります。
また、婚約破棄でも正当な理由がある場合には損害賠償の請求はできません。
具体的に正当な理由が認められるかどうかは最終的には裁判所が判断することになりますが、相手の暴力や不倫が原因の婚約破棄には正当な理由があるとされています。
このように、損賠賠償の請求にはいろいろなことを考慮する必要がありますので、早めに弁護士へ相談することをお勧めします。
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九段法律事務所
弁護士 村田彰子
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