2015.12.28更新

民法750条は、「夫婦は、婚姻の際に定めるところに従い、夫又は妻の氏を称する」と規定しています。結婚する際に、夫婦となる者のどちらか一方が必ず氏(いわゆる「姓」のこと)を変えて同一の氏(姓)にしなければならないことになっていますので、現在の法律では、いわゆる「夫婦別姓」は認められていません。

 

この、夫婦別姓を認めない民法の規定が憲法に違反するかが争われた裁判で、12月16日、最高裁判所は憲法に違反しない(合憲)との判断を示しました。

 

ただ、この判決は15人の最高裁判所の裁判官全員による大法廷判決ですが、裁判官の中でも意見が割れており、そのうち5人の裁判官が違憲であるとの意見を述べています。

また、合憲の判断を示した多数意見でも、夫婦同姓制度が憲法に違反しないといってもそれが「選択的夫婦別氏(姓)制度に合理性がないと断ずるものではない」と述べ、「この種の制度のあり方は、国会で論ぜられ、判断されるべき事柄にほかならない」と指摘しています。

 

この問題は、結婚や家族のあり方など私たちの生活にも関わる大きな問題ですので、今後、国会の場などでよりよい制度へ向けた議論が広く行われ立法措置がとられることが期待されます。

 

 

~~~憲法の条文~~~

憲法13条

すべて国民は、個人として尊重される。生命、自由及び幸福追求に対する国民の権利については、公共の福祉に反しない限り、立法その他の国政の上で、最大の尊重を必要とする。

 

憲法14条1項

すべて国民は、法の下に平等であって、人種、信条、性別、社会的身分又は門地により、政治的、経済的又は社会的関係において、差別されない。

 

憲法24条1項、2項

(1項) 婚姻は、両性の合意のみに基いて成立し、夫婦が同等の権利を有することを基本として、相互の協力により、維持されなければならない。 

(2項) 配偶者の選択、財産権、相続、住居の選定、離婚並びに婚姻及び家族に関するその他の事項に関しては、法律は、個人の尊厳と両性の本質的平等に立脚して、制定されなければならない。

投稿者: 弁護士 村田 彰子

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