遺言書があっても、必ずしも遺言どおりに遺産を分けなければならないわけではありません。
遺言には、遺言をした方の意思が直接示されていますので、その意思を尊重するべきであることは言うまでもありませんね。
しかし他方で、残された相続人の方々の生活や考えも尊重する必要があるのも事実です。
そこで、民法907条には「共同相続人は、次条の規定により被相続人が遺言で禁じた場合を除き、いつでも、その協議で、遺産の分割をすることができる。」と定められています。つまり、遺言と異なる内容であっても、共同相続人全員が合意すれば、その合意した内容での遺産分割を原則として行うことができるのです。
また、民法1028条以下には遺留分に関する規定もありますので、遺言が遺留分を侵害する内容になっている場合には、遺留分の権利がある相続人(配偶者や子など、兄弟姉妹以外の相続人)は、遺留分減殺請求権を行使することができます。